鉄骨造は木造より強いんですか?
2024.10.02
社長ブログ家づくり相談室
Writer
丹羽 八州男 代表取締役 / 二級建築士 / 宅建士 / SE構法プロ
こんにちは。代表の丹羽です。
最近お会いした自宅の建築を検討していた方が『家の構造で一番良いのはRC(鉄筋コンクリート)造だと思うけど実際どうなんでしょう』
という質問をされました。
SE構法を始めとし、木造で家を建ててきたビルダーとしては、『そりゃ木造が一番ですよ』と言いたいところですが、実際のところ究極に安全な建物は私もRC造だと思っています。ただ、結論から言ってしまえば、同じ強度を求めた構造計算を前提に設計・建築された場合、強さの優劣はないと言えます。
アメリカのように年に何回も竜巻が発生し、その度街全体が破壊されるような環境なら私も家づくりに(窓をあまり大きく設けない)RC造を勧めると思います。そういった究極の環境下でも、弾丸のように飛来物が建物に衝突しても破損が最小限で抑えられ、火炎に対しても開口部さえ破られなければ、そう簡単に全焼はしません。建物内も重量感があって静かです。しかしながら、RCとて万能ではなく、工事費が高価になりやすい。固定資産税が長期にわたって高額。重量が大変重く地盤への負担が大きい。結露が発生しやすく外断熱にしないと温熱環境を整えにくい等、マンションや商業施設などでは大きな問題にならないことが、個人住宅規模だと他の工法に比べマイナス要素となることも多くなります。
それに対し,昨今の木造の進化は大きく、SE構法に代表される耐震性、耐風圧性は飛躍的に上がりました。それを軽い重量で実現できるのもメリットです。
また高い気密性、断熱性を得やすく、現在の木造住宅の温熱性能はかなり高いものになっています。
そういったことからも、昔からの固定概念で、RC造は丈夫で高級、木造は安いけど少々弱いと思っている方もまだまだおられるようですが、今や木造が他の構造体に劣る点は少なく、炭素の固定化という観点からむしろ大規模建築の木造化推進の流れもあり、木造建築物は社会的要求でもあります。
もちろんRC造や鉄骨造の良さもあるので、ご自身の家づくりに何が一番マッチした建て方なのか、それぞれの構造の特徴を理解して決める必要がありますね。
先ず鉄骨造は重量鉄骨と軽量鉄骨に大別されます。軽量鉄骨は大手ハウスメーカーが建てているユニット工法を指して言うことが多いです。
鉄骨の厚みも接合方法も重量鉄骨とは異なりますが、ユニットに組み込んで工場で予備的に組みたてるので(プレハブ式)品質の管理が正確にできるメリットがありますし、工場で外壁や窓枠などもセットされた状態で現場に持ち込むので、短い工期での建築が可能です。
しかし、ユニットとして運搬する都合からそのサイズを大きくできず、重量鉄骨ほどの空間は作れません。
一方、重量鉄骨は現場で一から組み立てる構造ですが、ラーメン構造と言って、柱と梁を剛接合することにより、壁に全く依存せず構造体が成り立つので、究極の大空間大開口構造と言えます。
2階から上を大きく持ち出す構造や、ななめ壁などの特異な形状にも対応可能です。
構造計算が必須になりますが、大空間でも高い耐震性で設計することが可能です。
ここまでは重量、軽量問わず鉄骨造の素晴らしい利点ですが、木造に比較した時に不利な部分も存在します。
先ず建物の重量が増え、特に重量鉄骨の場合はその差は顕著で、地盤が悪い場合の地盤改良費は大幅に増えるケースが多いです。
また日本の固定資産税の考え方は木造より、鉄骨、鉄骨よりコンクリート造の方がそれぞれ高く評価される制度で、長期間高い固定資産税を払うことになります。
また住宅環境としての構造体として考えると、鉄骨造は外部の熱が鉄を通して室内に伝わりやすい特徴があり(これを熱橋と言います)最新レベルの木造の断熱レベルと同等の断熱性を確保しようとすると、かなりの対策が必要になるだけでなく、構造上気密性を高めるのにも不利です。
したがって住宅として考えた場合、構造躯体自体が木造に比べ元来高コストなことも加わり、高額な建築費を覚悟する必要があります。
鉄骨造のメリットをデメリット以上に使える建物にできるのであれば、その選択をすべきだと思いますが、そうでない場合は大空間も実現できるSE構法などの木造も合理性は高いと言えるでしょう。
それぞれの特徴を生かせる選択をしていただきたいと思います。
いつもより長く書いていますがこの比較はまだまだ伝えきれていません。もっと知りたい方は丹羽までご質問ください。
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丹羽 八州男代表取締役 / 二級建築士 / 宅建士 / SE構法プロ
代表取締役 / 二級建築士 / 宅建士 / SE構法プロ「個性の尊重・絶対の安心・価値の創造」をモットーに、より良い家づくりに取り組んでいきます。
マイホームのコンセルジュとしてあらゆるご相談にお答えいたしますので、理想の家づくりのために納得いくまで私を活用してください。
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